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お茶でも飲んで、ほっと一息ついてみませんか?

地域団体商標を取得している日本茶の銘柄をまとめました。宇治茶や八女茶、知覧茶などの有名銘柄が取得する理由とは?

地域団体商標に登録されている銘柄

地域団体商標」を知っていますか?

地域名と普通名詞を組み合わせた単語を対象とした商標で、取得することでブランドを法的に守ることができます。

お茶の銘柄では、宇治茶静岡茶八女茶など、16の銘柄が地域団体商標を取得しています。

ということで、この記事では地域団体商標を取得するメリットと合わせて、地域団体商標を取得しているお茶の銘柄をまとめてみました。

そもそも地域団体商標とは?

商標マーク

Clker-Free-Vector-ImagesによるPixabayからの画像)

地域団体商標とは、地域名と一般的な名称を組み合わせた単語で、一定以上有名な単語に与えられる商標です。

たとえば「松阪牛」は、三重県松阪市で生産されている牛のことですが、これも地域団体商標を取得しています。

一般的な商標と同じく特許庁が管理しており、出願の処理や審査は特許庁が行います。

詳しくは「地域団体商標制度 | 経済産業省 特許庁」をご覧ください。

地域団体商標を取得する条件

地域団体商標を取得するにはいくつかの条件があります。

地域団体商標の条件

  1. 地元の団体による出願であること
  2. 団体の組合員が使う商標であること
  3. 地域名と関連があること
  4. 一定の地理的範囲である程度有名であること

この4つの条件の中で最も重要なのは、4つ目に挙げた「認知度」です。

地域団体商標のガイドブックには以下のように記載されています。

出願団体またはその構成員の使用により、一定の地域で需要者(最終消費者または取引事業者)に知られていることが客観的事実販売数量・新聞報道などによって証明できること

引用元:地域団体商標ガイドブック2019 電子ブック版(7ページ)

つまり、地域が協力して認知度アップを目指すことが、地域団体商標取得の近道です。

地域団体商標を取得するメリットは?

茶畑とかご

多くの団体は、ブランド力の向上のために取得しています。

先ほどもお伝えしましたが、この商標の取得には認知度が重要なポイントです。

認知されていないと取得できない、ということは裏を返せば、取得できれば認知度があるということです。

国に認められた証となるので、海外展開もしやすくなります。

また、町おこしのために取得する地域もあるようです。

認知度アップのためには、地域全体でPR活動をすることになるので、町全体が活気にあふれ、地域振興にもつながります。

実際に、生産者を志す若い層が増えたケースもあるそうです!

法的権利が生まれる

地域団体商標を取得する最も重要なメリットは、「法的権利が生まれる」ことです。

この商標を取得した団体には、商標名を使った商品を許可なく販売することを禁止できる権利が与えられます。

そのため、悪意ある人が商標名を不正に利用した商品を販売した場合、法的に対抗することができます。

水戸黄門の印籠のようなものですね。

このように、ブランドの価値を高めるだけでなく、そのブランドに関わる生産者の生活を守れるのが、地域団体商標の大きなメリットです。

また、ライセンス契約もできるようになります。

地理的表示(GI)保護制度との違い

地域団体商標に加えて、さらに「地理的表示(GI)」という表示を取得する団体もあります。

こちらは農林水産省が管理している表示で、これを取得すると「GIマーク」を表示でき、国のお墨付き感がさらに強まります。

お茶の銘柄では「西尾の抹茶」と「八女伝統本玉露」がGIマークを取得しています。

GIマークは海外にも知られているマークなので、特に海外展開を意識した団体が取得するケースが多いようです。

地域団体商標を取得している銘柄一覧

いくつかの種類の茶葉

地域団体商標を取得しているお茶の銘柄は、2019年4月時点で16銘柄あります。

お茶の解説文に引用箇所がありますが、これは出願時に記載する「指定商品又は指定役務」という項目を引用しています。

これは、それぞれの管理団体が「○○茶とはこういうものです」と定義した内容です。

足柄茶(神奈川県)

神奈川県内で生産された茶を神奈川県足柄地域で仕上げ加工した緑茶

引用元:足柄茶(PDF:114KB)(地域団体商標登録案件紹介 産品別表示 茶 | 経済産業省 特許庁)

商標登録 第5061753号「足柄茶(あしがらちゃ)」は、神奈川県足柄市周辺で生産されています。

足柄茶は、「『味と香り』の足柄茶」というキャッチコピーのとおり、甘みが強く苦みを抑えた香り高いお茶です。

神奈川県の名産品を集めた「かながわ名産100選」や、地域伝統の技術を生かして生産された食品を対象とする「本場の本物」にも選ばれています。

美濃白川茶(岐阜県)

美濃白川(白川町と東白川村を含む岐阜県加茂郡・関市・中津川市・美濃市・恵那市・美濃加茂市・郡上市・下呂市・可児市及び可児郡)産の緑茶

引用元:美濃白川茶(PDF:107KB)(地域団体商標登録案件紹介 産品別表示 茶 | 経済産業省 特許庁)

商標登録 第5120437号の「美濃白川茶(みのしらかわちゃ)」は、主に岐阜県の白川町東白川村で生産されています。

この地域のお茶は比較的急な斜面で生産されているのが特徴で、石垣のだんだん畑になっているところもあるそうですよ。

ちなみに、岐阜県内で作られるお茶を美濃茶(みのちゃ)と呼びます。美濃茶の中でも、岐阜県西部で作られるお茶を美濃いび茶(みのいびちゃ)、中東部で作られるお茶を美濃白川茶としています。

川根茶(静岡県)

静岡県榛原郡川根町及び川根本町(旧・中川根町及び旧・本川根町)で生産される緑茶

引用元:川根茶(PDF:109KB)(地域団体商標登録案件紹介 産品別表示 茶 | 経済産業省 特許庁)

商標登録 第5053823号の「川根茶(かわねちゃ)」は、静岡県榛原郡の川根町と川根本町で生産されるお茶です。

川根茶は、自然を感じる爽やかな香りを持ち、甘みや旨みが強く、ほのかに渋みがあります。

またお茶の色は「金色」と言われるほど薄いのが特徴です。

煎茶がメインですが、最近では深蒸し茶の生産量も増えてきています。

静岡茶(静岡県)

静岡県産の緑茶

引用元:静岡茶(PDF:110KB)(地域団体商標登録案件紹介 産品別表示 茶 | 経済産業省 特許庁)

商標登録 第5062720号「静岡茶(しずおかちゃ)」は、日本三大銘茶のひとつです。

静岡茶の定義はいたってシンプルで、静岡県で作った緑茶のことを静岡茶と呼びます。

なので、先に紹介した川根茶と次に紹介する掛川茶東山茶は、静岡茶とも言えます。

静岡茶には、ほかにも天竜茶本山茶などの銘柄があります。

地域の地形や気候に適したお茶が作られていますが、中でも深蒸し茶が多く生産されています。

掛川茶(静岡県)

静岡県掛川市産の緑茶

引用元:掛川茶(PDF:110KB)(地域団体商標登録案件紹介 産品別表示 茶 | 経済産業省 特許庁)

商標登録 第5082404号「掛川茶(かけがわちゃ)」は深蒸し茶が有名なお茶です。

掛川周辺では茶樹の根本にワラを敷き詰める伝統的な手法が行われており、「静岡の茶草場農法」として世界農業遺産に登録されています。

掛川のお茶は、食品の安全性確保を推進するための「トレーサビリティ・システム」によって管理されているのが特徴です。

東山茶(静岡県)

静岡県掛川市東山産の茶

引用元:東山茶(PDF:145KB)(地域団体商標登録案件紹介 産品別表示 茶 | 経済産業省 特許庁)

商標登録 第5517008号は「東山茶(ひがしやまちゃ)」は、掛川市内の東山という地域で作られるお茶です。

東山は掛川市の中でも比較的標高が高い地域で、適度な気温差がお茶の育成に良いとされています。

品評会でも農林水産大臣賞を受賞するなど高い評価を受けている、お茶の名産地です。

西尾の抹茶(愛知県)

愛知県西尾市・安城市・幡豆郡吉良町で生産された茶葉を同地域において碾茶加工・仕上げ精製し、茶臼挽きした抹茶

引用元:西尾の抹茶(PDF:122KB)(地域団体商標登録案件紹介 産品別表示 茶 | 経済産業省 特許庁)

愛知県西尾市を中心に生産されている「西尾茶(にしおちゃ)」は、商標登録 第5204296号を取得しています。

抹茶といえば宇治茶が有名ですが、西尾では収穫されたほとんどが抹茶に加工されており、全国抹茶生産量の約20%も占めるほどの生産量を誇ります。

また西尾の抹茶は地理的表示(GI)保護制度によるGIマーク」も取得しています。

伊勢茶(三重県)

三重県産の緑茶

引用元:伊勢茶(PDF:131KB)(地域団体商標登録案件紹介 産品別表示 茶 | 経済産業省 特許庁)

商標登録 第5040759号「伊勢茶(いせちゃ)」は、三重県で生産されたお茶のことです。

あまり知られていませんが三重県は、栽培面積・生産量・生産額において、静岡県や鹿児島県に次いで全国3位になる全国有数のお茶の生産地です。

北勢部(水沢あたり)ではかぶせ茶や煎茶、南勢部(大台あたり)では、深蒸し茶をメインに生産しています。

甲賀のお茶(滋賀県)

滋賀県甲賀市産の茶の葉を主原料とする緑茶飲料

引用元:甲賀のお茶(PDF:120KB)(地域団体商標登録案件紹介 産品別表示 茶 | 経済産業省 特許庁)

商標登録 第5580131号「甲賀のお茶(こうかのおちゃ)」は滋賀県甲賀市で生産されたお茶です。

甲賀茶は甲賀市産のお茶の中でも、土山茶朝宮茶に分類されます。

土山茶を生産している土山町は、滋賀県最大の栽培面積と生産量を誇ります。

一方の朝宮茶は信楽町で生産されるお茶で、五大銘茶として古くから親しまれていました。

政所茶(滋賀県)

滋賀県東近江市政所町及びその周辺(君ヶ畑町,蛭谷町,箕川町,蓼畑町,黄和田町,杠葉尾町)産の茶

引用元:政所茶(PDF:299KB)(地域団体商標登録案件紹介 産品別表示 茶 | 経済産業省 特許庁)

政所茶(まんどころちゃ)」は、第6120573号として商標登録されています。

生産地である滋賀県東近江市政町周辺は、終戦後の村離れや高齢化により生産農家が減少し、とても希少なお茶となりました。

政所茶は、石田三成が豊臣秀吉に出したとされる「三献茶(さんけんちゃ)の銘柄だと言われています。

宇治茶(京都府)

京都府・奈良県・滋賀県・三重県の4府県産茶を京都府内業者が京都府内に置いて宇治地域に由来する製法により仕上加工した緑茶

引用元:宇治茶(PDF:105KB)(地域団体商標登録案件紹介 産品別表示 茶 | 経済産業省 特許庁)

日本三大銘茶のひとつである「宇治茶(うじちゃ)」は、商標登録 第5050328号を取得しています。

京都府はお茶トータルの生産量ランキングでは全国5位ですが、玉露や抹茶の生産量は全国1位!

やはり「抹茶」といえば宇治ですね。

宇治茶は抹茶の銘柄として世界的にも知名度があります。

八女茶・福岡の八女茶(福岡県)

福岡県内の茶生産者が福岡県八女市及びその周辺地域(熊本県及び佐賀県の八女地域に隣接する地域を含む)において生産した荒茶を福岡県内で仕上げ加工した緑茶

引用元:八女茶(PDF:108KB) / 福岡の八女茶(PDF:106KB)(地域団体商標登録案件紹介 産品別表示 茶 | 経済産業省 特許庁)

八女茶は、商標登録 第5116871号「八女茶(やめちゃ)」と、第5116872号「福岡の八女茶(ふくおかのやめちゃ)」の2つの名称で地域団体商標を取得しています。

特に有名なのは玉露で、全国品評会では毎年多くの賞を受賞している「玉露の王様」的存在です。

また八女茶の高級玉露「八女伝統本玉露」はGIマークも取得しています。

うれしの茶(佐賀県)

嬉野市を茶の発祥地とし佐賀県および長崎県において生産加工された茶

引用元:うれしの茶(PDF:187KB)(地域団体商標登録案件紹介 産品別表示 茶 | 経済産業省 特許庁)

商標登録 第5140676号「うれしの茶」は、佐賀県嬉野市周辺で作られるお茶です。

佐賀県をはじめとした九州地方では、蒸し製玉緑茶という製法によるお茶がたくさん作られています。

香りとコクが強く、まろやかな旨みが特徴のお茶です。

また嬉野は歴史あるお茶の栽培地で、釜炒り茶発祥の地でもあります。

くまもと茶(熊本県)

熊本県産の緑茶

引用元:くまもと茶(PDF:79KB)(地域団体商標登録案件紹介 産品別表示 茶 | 経済産業省 特許庁)

くまもと茶」は商標登録 第5697711号です。

熊本県は、栽培面積が全国4位のお茶の名産地で、蒸し製玉緑茶・釜炒り茶・煎茶の3種類をメインに生産しています。

特に蒸し製玉緑茶は、全国生産量の4分の1の生産量です。

かごしま知覧茶・知覧茶(鹿児島県)

鹿児島県知覧町産の緑茶・煎茶・粉茶・ほうじ茶・玄米茶・茎茶・ティパックに詰めてなる煎茶

引用元:かごしま知覧茶(PDF:138KB) / 知覧茶(PDF:129KB)(地域団体商標登録案件紹介 産品別表示 茶 | 経済産業省 特許庁)

鹿児島県知覧町で作られている知覧茶は、商標登録 第5008246号「かごしま知覧茶(ちらんちゃ)」と、商標登録 第5023855号「知覧茶(ちらんちゃ)」の2つの名称で地域団体商標を取得しています。

この地域のお茶は知覧茶のほかにも、えい茶、川辺茶がありましたが、2017年に知覧茶に統一されました。

特に深蒸し茶が有名な地域で、全国茶品評会でも高い評価を受けています。

余談ですが、「ティパックに詰めてなる煎茶」っていう表現がいいですね(笑)。

霧島茶(鹿児島県)

鹿児島県霧島市で生産された緑茶

引用元:霧島茶(PDF:147KB)(地域団体商標登録案件紹介 産品別表示 茶 | 経済産業省 特許庁)

商標登録 第6080598号「霧島茶(きりしまちゃ)」は、鹿児島県霧島市のお茶です。

霧島には「霧島大茶樹」という古い茶樹があります。

1945年に枯れてしまい現在は2代目ですが、それでも樹齢130年以上になるとか!

ちなみに、焼酎が有名な「霧島酒造」は宮崎県の会社です。

お茶の地域団体商標 まとめ

お茶の地域団体商標 まとめ

地域団体商標を取得するメリットは、ブランド力のアピールや地域振興などがありますが、最も大きなメリットは法的権利を得ることです。

2019年4月時点では、16銘柄が地域団体商標を取得しています。

※こちらの記事は、新たな登録があれば更新する予定です。

参考リンク

© 2019 Eimee Inc.