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お茶でも飲んで、ほっと一息ついてみませんか?

釜炒り茶とは?生産量わずか0.5%以下の珍しい日本茶です。特有の香りで緑茶なのにまるで紅茶のように楽しめます。

茶葉

あなたは釜炒り茶(かまいりちゃ)というお茶を聞いたことはありますか?

九州以外にお住いの方は「聞いたことが無いな」と思う方が多いかもしれません。

釜炒り茶は日本ではほとんど作られていない、ひじょーにレアなお茶なんです。

今回はそんな釜炒り茶を見ていきましょう!

釜炒り茶とは

釜炒り茶とは、摘んだ茶葉を釜で炒った緑茶です。日本では、その生産の難しさから一部地域でしか作られていません。

平成29年の日本茶全体の生産量で見ると、わずか0.5%以下のレアなお茶なんです。

これは玉露とだいたいおなじくらいの生産量になります。

ちなみに海外では中国茶や紅茶のようにお茶の香りを重視する人が多いため、ほとんどの緑茶が釜炒り製です。

次は釜炒り茶の特徴を見ていきましょう。

特徴:独特な香り「釜香」

釜炒り茶は、摘んだ茶葉を釜で炒るときにつく特有の香り「釜香(かまか)」が特徴のお茶です。

丸まった茶葉がお湯で徐々に開いていくと、この釜香が楽しめます。

煎茶などの一般的な緑茶では「香りが強い!」というイメージはありませんが、この釜炒り茶は緑茶ながら紅茶のように鼻でも楽しめるんですね。

また、香りつながりでお話しておくと釜炒り茶は、一部の品種において萎凋香緑茶(いちょうかりょくちゃ)を作りやすいと言われています。

萎凋香緑茶とは、熱加工する前の茶葉を少し放置して(しお)れさせたお茶のこと。香りは花の様な甘い匂いがします。

萎凋そのものは紅茶や中国茶の一部で一般的に行われる工程です。

主な産地

先述した通り、釜炒り茶は珍しいお茶です。

そんな釜炒り茶の産地は一体どこなのでしょうか?

主な産地

  • 佐賀県
  • 長崎県
  • 熊本県
  • 宮崎県
  • 大分県
  • 静岡県

釜炒り茶は主に九州を中心に生産されています。

その中でも特に有名なブランド(銘柄)は、佐賀県の嬉野茶(うれしのちゃ)や熊本県の青柳茶(あおやぎちゃ)です。

嬉野茶を生産している佐賀県の嬉野は、釜炒り茶発祥の地として知られています。詳しくは関連記事をご覧ください。

余談ですが、同じ釜炒り茶でも嬉野茶と青柳茶で少し違いがあります。

嬉野製(佐賀県や長崎県)は大型な釜で45度傾いて設置され、青柳製(宮崎県や熊本県)は小型な釜が平らになっているのが特徴です。

小型な釜でつくる青柳製は家庭でも再現できるため、農家さんの自家用レベルでは青柳製が広まっています。

全国茶品評会や日本茶AWARDで受賞した宮崎県の釜炒り茶

最近では宮崎県の釜炒り茶が注目されています。

というのも、品評会やコンテストで好成績を収めているのが宮崎県の高千穂茶や五ヶ瀬茶なんです。

2018年に行われた第72回全国茶品評会の釜炒り茶部門では、宮崎県(延岡市)のお茶が1位の農林水産大臣賞に選ばれました。ちなみに品評会の釜炒り茶は宮崎県(延岡・五ヶ瀬町・高千穂町 等)、佐賀県(嬉野市)、熊本県(天草市 等)、静岡県(川根本町)の4県が出品しています。

また、東京の渋谷で開催されたコンテスト「日本茶AWARD2018」では、釜炒り茶のプラチナ賞に宮崎県の高千穂茶、紅茶・高発酵茶にも高千穂 紅茶が選ばれているんです!

宮崎県は釜炒り茶や紅茶といった香りのあるお茶が強いんですね~。

釜炒り茶の歴史

history

さて、次は釜炒り茶の歴史についてみていきましょう。

釜炒り茶の歴史は、佐賀県の嬉野から始まり今日に至ります。

釜炒り茶の始まり

テデン!さて、いきなりですがここで問題です。

釜炒り茶は、ある時代に中国から佐賀県嬉野に伝わり作られるようになりました。それは一体何時代でしょうか?

  1. 平安時代
  2. 鎌倉時代
  3. 室町時代
  4. 江戸時代

ヒントは煎茶が生まれるよりも前、だいたい豊臣秀吉や千利休が抹茶に親しんでいたのと同じ時代、です。

【正解はこちらをクリック!】

答えは今から約500年前の室町時代です!

1504年、釜炒り茶は明(当時の中国)から来た陶工が嬉野に移り住み、釜炒り製法が伝わったと言われています。

煎茶が日本でスタンダードになる前は、釜炒り茶が庶民たちにとって身近なお茶でした。

現在では、蒸し製玉緑茶の生産量の方が圧倒的に多くなっています。

嬉野に釜炒り製法が伝わった後、釜炒り茶は主に九州を中心に作られるようになりました。

農家さんが自分たち用に作るレベルでは釜炒り茶は全国で見られますが、商品として生産されているのは九州など限られた地域だけです。

日本で初めて輸出されたお茶

幕末から日本茶は海外に多く輸出され、日本の経済を支えました。これは釜炒り茶も例外ではありません。

しかも、日本ではじめて海外に輸出されたお茶は、なんと嬉野製釜炒り茶だったそうです。釜炒り茶発祥だけでなく輸出されたお茶も初だったんですね~。

1853年の幕末に大浦慶(おおうらけい)という女性の貿易商が嬉野茶を海外に輸出し、これが日本茶貿易の先駆けになりました。

その3年後、大浦慶はイギリスの商人からお茶の注文を受けましたが嬉野茶だけでは足りず、九州各地の茶園から6トンものお茶を集めて輸出に成功しました。

次は釜炒り茶の製法についてお話します。

釜炒り茶の製法

釜炒り茶は地域や商品によって差はありますが、おおよそ以下の製法で作られます。

釜炒り茶の製法

  1. 釜で茶葉を炒る(炒り葉(いりは)
  2. 茶葉を揉む(揉捻(じゅうねん)
  3. 熱風をあてて茶葉を乾かす(水乾(すいかん)
  4. 茶葉に摩擦や圧縮を加える(締め炒り(しめいり)
  5. 茶葉を乾燥させる(乾燥(かんそう)

釜炒り茶は、高温にした釜で茶葉を炒って酸化酵素が働かないようにします。その後は茶葉を揉んで徐々に水分を飛ばしながら乾燥させていきます。

上のリストのうち3番の水乾と4番の締め炒りは釜炒り茶にしかない工程です。

釜炒り茶の種類

釜炒り茶には2種類、釜製玉緑茶と釜伸び茶があります。

両方とも、茶葉の見た目で判断できるほど形状が特徴的です。同じ釜炒り茶でも茶葉を細くする工程があるかないかの違いになります。

釜炒り製(釜製)玉緑茶:ぐりっと丸まった茶葉

釜炒り製玉緑茶の茶葉は丸まった形状です。

釜で炒った後、茶葉を回転させながら熱風をあてることで玉緑茶特有の形状が生まれます。

ちなみに、この丸くグリグリっとした見た目からぐり茶とも呼ばれているんです。

大正時代には輸出先のロシアにぐり茶が好まれ、蒸し製玉緑茶が開発されました。釜炒り茶は形状が似ていたので、その時から「釜炒り製玉緑茶」と呼ばれるようになります。

釜伸び茶:細くとがった茶葉

釜伸び茶の茶葉は、煎茶など他の緑茶と同じように細長い形状です。

茶葉を釜で炒った後、揉みながら徐々に乾燥させていきます。

そして形を細くする精揉(せいじゅう)という工程を行うことで細い茶葉になります。

海外のニーズに応える釜炒り茶

地球儀

最近、海外では和食ブームや健康志向の影響で緑茶の需要が高まっています。

しかも、新たに市場を広げたい欧米などの嗜好に合わせ、香り高き釜炒り茶や萎凋香緑茶が注目されているんです。

元々味や色を重視してきた日本茶に「香り」まで備わったら鬼に金棒!

消費者の目線から見ても現在の日本茶は煎茶が主流なので、釜炒り茶や萎凋香緑茶のような香りが楽しめる緑茶も増えると嬉しいですよね。

釜炒り茶の今後の動きが気になります!

釜炒り茶のまとめ

釜炒り茶のまとめ

釜炒り茶は、摘み取った茶葉を釜で炒ったお茶です。

日本では緑茶総生産量の0.5%以下という希少なお茶で、九州の佐賀県や宮崎県を中心に生産されています。

特徴は釜炒り茶ならではの香り「釜香」。

1煎飲んで終わるのではなく、お湯で開いていく茶葉から徐々に香る釜香を楽しめます。緑茶を紅茶のように香りで楽しみたいという方には特におすすめのお茶です。


参考

参考サイト

参考図書

  • 日本茶のすべてがわかる本-日本茶検定公式テキスト
  • 日本茶の図鑑
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